達磨寺
だるまでら

片岡山 達磨寺
臨済宗南禅寺派
所在地
奈良県北葛城郡王寺町本町二丁目

宗 派 臨済宗南禅寺派
御本尊 千手観世音菩薩像
木造達磨坐像
木造聖徳太子坐像
由 緒 
葛下川西岸に所在。片岡山と号し、臨済宗南禅寺派。本尊達磨坐像・聖徳太子坐像。当寺の建立には『日本書紀』推古天皇二十一年十二月一日条、「日本霊異記」上巻(聖徳太子、異しき表を示す縁)、「上宮聖徳太子伝補闕記」「聖徳太子伝暦」に伝えられる物語が先行する。これは聖徳太子が片岡山の路傍に伏した飢人と歌の贈答をしたが、後日その飢人は死んだので埋葬したところ、数日ののち屍がなくなった。そこで太子は飢人が真人(聖)であったことを知ったという故事であるが、のちにこの真人が達磨大師と混交されて当寺が建てられたと伝えられる。
『達磨禅師御廟記』によれば嘉応(1169-71)の頃には後世達磨の墓と称された古墳が田の中に荒廃して横たわっていたらしく、「建久御巡礼記」建久二年(1191)閏十二月条に「ツカノ上三重塔に似タル廟アリ」と記す。応永(1394-1428)頃の「聖誉抄」には平安末の入唐僧勝月によって塔が建立されたとあるが、嘉元三年(1305)四月には「六方衆徒蜂起令発向片岡達磨寺」(興福寺略年代記)とあるように、興福寺による達磨寺の破却があった。しかし、その復興が仙海の勧進によって進むと、徳治二年(1307)十二月、奈良興福寺は仙海の流罪を京都に訴えたが、それが遅々とするや春日神木動座をもって強要し、これを実現した(同書)。同寺の背景には幕府の権力が存在していた(春日大社文書)。当寺再建については「法隆寺別当次第」の延文二年(1357)十月二十四日条に「達磨、太子御対面之所ニ、宝篋印石塔一始造立、施主主侍者禅僧也」、同四年二月一日条に「達磨寺御塔前拝殿始造立、施主霊潤房禅僧也」と記されていることからうかがえる。また将軍足利義教による再興もあったが、戦国時代には松永久秀の兵火にかかり衰えた。天正五年(1577)正親町天皇の再興の論旨が下され、豊臣秀頼によって本堂が修理されたらしい。慶長七年(1602)には徳川家康から国家安穏を祈る宗教道場として三〇石ならびに境内の竹木の寄進をうけた。寄進状(庁中漫録)に「和州達磨寺之事、為興隆、於葛下郡片岡寺村参拾石、永寄附之寺家、境内竹木如前々、付加在相違、可専寺中修造、興起宗与仏法者也」とあり、朱印地は門前村と呼ばれた。
【伽藍・文化財】
寛文七年(一六六七)に方丈(県指定文化財)・庫裏を修理、「大和志」には正堂・方丈・九重石浮屠・伽藍神祠などがあったと記されており、「大和名所図会」にこれらの記述に合う様子が描かれている。本堂の達磨坐像は永享二年(1430)の作で国指定重要文化財、寄木造・着色・彫眼で高さ86センチ。木造聖徳太子坐像は院恵および院道の作で、胎内に建治三年(1277)の銘があり、国指定重要文化財。本堂前に貞和五年(1349)の石灯籠があり、本堂西側に元亀元年(1570)三月五日に没した片岡城(現奈良県上牧町)城主片岡新介春利の墓、北側には中興記石幢一基がある。中興記は八角柱に笠と宝珠を置き、安山岩製、総高181センチ。銘は柱各面に陰刻。初めに「達磨時中興記」とあり、「達磨寺在和之片岡俗称曰墳」から始まり、中興の由来を解き、文安五年(1448)六月二十一日、「住持比丘南峯租能誌焉」で結ぶ。国指定重要文化財。以上のほか、絹本着色涅槃図(国指定重要文化財)達磨画像・聖徳太子画像(永享三年足利義教画賛)、慶長十二年筆写の「達磨禅寺興衰伝略記」、正親町天皇論旨、徳川家康朱印状、徳川家光以下歴代将軍の朱印状などを所蔵する。
     -寺院神社大辞典(大和・紀伊)より-


国道168号線に面した西門

境内

本堂

達磨寺参道の石碑

南側山門を出たところにあります。

庭園

薬師石目を閉じて近寄り、両手で抱けば病気が全癒すると伝えられる石である。
寛政三年(1791)「大和名所図会」に見える当時の境内絵図にも、「やくし石」が描かれている。
-立て札より-

境内の案内板

片岡八郎公の墓

片岡八郎利一は王寺の人で、南北朝の頃、鎌倉幕府を倒そうとした後醍醐天皇の皇子、大塔宮譲良親王の重要な家来の一人であった。

問答石

推古天皇二十一年(613)に聖徳太子と飢者に身をやつした達磨大師が出合い、歌を詠み交わしたと伝えられる。
本堂西南角付近にあり、横に伏せているように見えるのが達磨石で、そこから南に約十メートルのところにあるのが太子石とされる。
-立て札より-

九重石塔

灯籠や五輪塔の台石を九重に重ねて塔にしたものである。塔身には「法華塔」の銘文がある。
もとは本堂の西隅にあり、塔の地下には石室を造って一字一石経が大量に奉納されていた。
-立札より-

境内の古墳

横穴式石室が見えます。

石室内部
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